「念仏宗無量寿寺(念佛宗) 佛教之王堂 五重塔内陣(非「釈迦涅槃像公開)」兵庫県加東市 The Royal Grand Hall of Buddhism」

「念仏宗無量寿寺佛教之王堂 五重塔内陣」は、現在公開されていないため、この映像でしか見ることはできません。中国古来からの技法を用いて構成された内陣装飾と念仏宗独自の様式で荘厳した全高10mの相輪が特徴的です。また中国の人間国宝が制作し「仏陀涅槃像」は、黄金の光のなかで荘厳な入滅を演出されていて、神々しい荘厳さをその像のなかにみることができます。実物を見ることは叶いませんが、映像だけででも見ておきたい素晴らしい芸術作品です。

入滅時と周囲の様子を表現している

釈迦涅槃像、つまり涅槃仏とは、お釈迦さまが入滅する時の様子を仏像として表したものです。この像は五重の塔の内陣に安置されていて、普段は未公開となっているそうです。制作したのは中国の人間国宝である金國平物資、五重塔の装飾は李萬奉師及び直弟子・洪昌源師が制作しています。映像を見ていくと最初に五重の塔の内陣の壁面から天井に至る装飾が映し出されます。鮮やかな赤色を主体に織物の連綿とした糸の組合せを感じさせる幾何学な模様が壁面、天上へと続いていきます。また龍や鳳凰もそこここに現れ、不思議な佛教宇宙を形作っています。次にお釈迦様が横になっている壇の光景を映し出します。壇もお釈迦さまもその周辺の飾りものも全て黄金色に輝いています。続く正面からお釈迦様を捉えた映像は、北を頭にしたお釈迦様以外は左右対称で構成されています。お釈迦様が入滅された時の荘厳さをまさに金の光で表現されています。

動画URL:「念仏宗無量寿寺(念佛宗) 佛教之王堂 五重塔内陣(非「釈迦涅槃像公開)」兵庫県加東市 The Royal Grand Hall of Buddhism」

釈迦を引き立てる、五重塔内陣の演出

お釈迦様が入滅する時の様子を描いた涅槃図というものもありますが、絵の場合には、通常お釈迦様の周りに菩薩や弟子、またさまざまな人や果ては動物までいて、入滅するお釈迦様を悼む様子が描かれています。しかし、なぜか釈迦涅槃像では、お釈迦様の周りに人はいないような気がします。確か法隆寺の「北面釈迦涅槃像」といものが弟子たちや菩薩が並べて安置しておりますが、あまり多くはないようです。念仏宗のこの涅槃像も釈迦一人のみを表現していますが、恐らく釈迦入滅の荘厳性を際立てようとする作者の意図があるのではないでしょうか。黄金色の釈迦はそれほどまでに美しく、神々しく入滅に臨んでいます。映像がさらにお釈迦様に近づき、その顔を捉えると、なんともおおらかな表情をたたえているのが見てとれます。ちょっとユーモラスに見えるほどのおおらかさですね。念仏宗の目指す「大涅槃」というものも、このようなおおらかさの中にあるのでしょうか。

塔の内装にも注目してみる

この佛教之王堂の五重の塔に安置される釈迦涅槃像は残念ながら一般には非公開ですが、この五重塔の内部は古来から中国に伝わる丹精技法による彩色が全面的に施されているといいます。内部の円筒形の柱を龍が抱き、仏法護持を象徴し、塔上にそびえたつ五重塔のシンボルである全高10mの相輪は、念佛宗式相輪で火炎を象った宝珠、青海波紋様を用いた龍舎、4匹の龍と四枝の法相華を透彫りにした水煙等、独自の造形様式として荘厳に仕上げられたものです。仏教の施設は、このように細部にいたるまで、その教義に基づく意味を持つことが不思議でもあり、また魅力でもあります。荘厳さのなかにある念仏宗が目指す「大涅槃」への憧憬と希求が、あちらこちらに見えてきます。このことが仏教が表す美術作品の醍醐味ともいえるのではないでしょうか。

まとめ

そのような目で見れば、念仏宗の総本山「仏経之王堂」は、仏教の今を見ることができるところと言えます。参詣する人々の、魂を目と気配で満喫させる力を持った環境であると考えることもできるでしょう。このような施設がお好きな方であれば、なんとも贅沢なアトラクションといっても過言ではありません。仏教美術はそれを参詣し、生きる糧とする人々にとっての信仰へのエネルギーとして、日々の精進を支えるためにこそ存在し続けるのに違いないと思えるのです。

この記事をシェアする